社会人司法試験受験生の雑感

司法試験(&予備試験)についての雑感を残すためのブログです。平成30年予備試験と令和元年司法試験を受験しての雑感を残しています。

H30予備試験を受験しての雑感②(論文編)

 

それでは論文編へ。

1. 事前準備

 短答受験後に新婚旅行で2週間ほどヨーロッパ方面に遠征しておりましたので、その間は勉強できませんでした。したがって、必然的に私ができたことは非常に限られた範囲のものとなりました。

 結論からいうと、①伊藤塾の予備試験用の問題集(赤い表紙で練習問題20問+過去問10問という構成のやつ)にざっと目を通す、②法学教室の演習本(「事例から考える~」とかって銘打ってるやつ)を読み直す、くらいでタイムアウトでした。本当は予備校から答練を入手して解いたり、模試を受けたり、過去問を検討したりすべきなのでしょうが、その時間的余裕はなかったです。

 後に試験当日に後悔することになるのですが、最低限、答案構成をやるのかやらないのか、やるとしてどれくらいの時間を使うのか、といった戦略ははっきりさせておくべきでしたし、1科目70分(法律科目)という制約がどれくらい厳しいものかも事前に知っておくべきでした。

2. 試験当日(総論)

  •  短答試験のときは「これで落ちて論文までたどり着かなかったらやべー」というプレッシャーがあったので前日の寝つきがやや悪かったのですが、論文試験はいつも通り6時間程の睡眠を取って臨みました。
  •  今年の会場(五反田TOC)はやや駅から遠かったので、暑さを考えるとタクシーで行くのが正解でした(初日は徒歩で行って後悔したので翌日はタクシーに)。
  •  座席は木製の長机と質素なパイプ椅子。特に机が狭いとかは気にならず。
  •  とにかく試験時間の制約がきつくて、予め答案構成をやるならやるできちんと訓練しておくべきでした(当たり前)。また、三段論法を守ることを心掛けるべきでした(割と崩壊気味だった)。

3. 試験当日(各論)

  •  公法系は論文試験の時間配分が全く分からないままで、実験台となってしまいました。というのも、いざ初めて2時間20分という制約を与えられて何にどのくらい時間配分すればよいか分からずテンパってしまったのです。行政法から解き始めたものの、予想外に時計の針の進みが早くてあまり答案構成せずに書き出す羽目になり(以下、憲法も同様)、死亡しました。設問2で行政法は行政手続法が適用されないということは分かったものの、設問1で処分性を肯定する立論をする際の考慮要素の摘示やあてはめがうまく書けず、憲法は地方議会における議員に対する懲戒処分という事案の個別性に着目できていない、かつ、法令違憲なのか処分違憲なのかもよく分からないふわっとした答案を書く羽目になりました。初めての論文試験で時間の使い方が分からないまま浮足立ってしまった結果、これまで勉強したことを答案に全く表現できず、うまく自分の力を発揮できませんでした。
  •  午後の刑事系は公法系の犠牲を活かして比較的まともにまとめられました。刑法・刑訴法ともにそんなにおかしいことは書かなかったと思いますが、実力不足で細かい点の処理が雑なのでどれくらい点数をくれるかは分かりません。刑法ではVから10万円奪った行為についての処理が悩ましかったです(甲については共謀の射程外、乙については当初の暴行・脅迫による犯行抑圧が継続している状況を利用したので1項強盗罪成立としました)。刑訴法では設問2の違法収集証拠排除のあてはめのやり方がいまいち分かりませんでした(警察官に令状主義潜脱の故意までないからそんなに悪質じゃないような気はしつつも、実質的には無令状での捜索差押だし排除でいいんじゃない、みたいなふわっとした立論に)。
  •  最後の一般教養科目は正直出来不出来が分かりません。学部の頃に人文系のことをやっていたので、それなりのことは書けたような気はしてますが、もしかしたら独りよがりで評価が低いかもしれません。
  •  2日目最初の実務基礎科目について、刑事はそれなりに題意を読み取れた気がしましたが、民事はポカもあり微妙な出来でした。最初に解き始めた刑事は設問5の弁護士倫理上の問題以外は論点は外さなかったと思っています(39条の預かり品の保管の話だと思ったのは私だけかもしれないですが......)。設問4(2)についても規則189条の2の問題だと思ってきっちり書けました。ただ、刑事で100分くらい使ってしまったのと、民事の設問1で債権者代位と勘違い→書き直しの際に附帯請求の記載を忘れる、というコンボをかましたのであんまりよくなさそうです。同時履行の抗弁についてのせりあがり、相殺と消滅時効の508条、準備書面、については最低限のことは書けたと思っていますが。
  •  最後の最後の民事系は商法→民訴→民法の順に解きました。そしてその順に時間がやばくなりました。商法は設問1は303条と305条の各要件にあてはめて、最後は124条4項ただし書きの解釈論を示して、会社のやったことは不当だという処理にしました。設問2は直接取引の場合に責任限定契約の規定適用されないっていうの知らなくてミスりました。少なくとも重過失なので責任限定されないから1,800万円の損賠責任あるよと書いたので結論において正当ではあるのですが。民訴法は複数当事者訴訟についてのふわっとした理解を反映してふわっとした答案になりました。設問1は普通に同時審判の申出できるやんって方向で書いちゃいました。設問2の参加的効力についての記載は理解不足で雑な記述になっちゃいました。設問3はほとんど書けず。民法安全配慮義務使用者責任、時効と履行遅滞の起算点の優劣については最低限のことは書きました。設問2は20分弱くらいしか時間がなくてダーって書いてたら終わったので、イマイチでした。

4. 雑感

  •  判例を読んで事案類型を理解するということをもっとするべきだった。ただ、今回は準備期間の制約があったのである程度はやむを得なかった。
  •  逆に言うと、出てくる論点自体は基本的なものが多いので百選の判例をきちんと理解しておけば必要十分だという感触を得た。
  •  採点の相場観が全く分かりませんが、自分の願望込みの評価予想を示しておきますと、憲法E、行政D、刑法C、刑訴C、教養B、実務C、商法A、民訴D、民法Cとかだと思っています。合格するにはやはり少し足りなかったかなという印象。3桁順位ではあると思っているのですが、500番以内とかって言われると厳しいと言わざるを得ないかと。ただ、評価甘ければ20%くらいは可能性あるかと。
  •  今後しばらくは通勤時間を使って判例百選を読みます。タイミングを見て司法試験の過去問の検討も進めていく予定です。

H30予備試験を受験しての雑感①(短答編)

 短答と論文に分けて書きます。短答の前に引っ越しと仕事の繁忙期が重なる等バタバタしておったのですが、個人の個別事情は個別事情なので、できる限りのことはやって臨みました。

・短答編

1.事前準備

 従前に辰巳の肢別本を一通り目を通してはいたのですが、3月くらいから最終チェックとして通勤時間を使ってすべての問題を解きなおしました。それと同時並行で各科目の基本書を読み直して、自分の理解を再確認していました。1週間前には感触を掴むために5年分の過去問を時間を計って解きました。

2.試験当日

 短答については時間が足りないということはなかったので、特段気になることはありませんでした。一般教養科目は英語を全部解いて残りはセンター試験のときの知識で解けそうなものを解きました。理系科目でも2~3問は解けそうなのがあったので選択しました。

3.結果

 憲法26、行政21、民法18、商法23、民訴23、刑法26、刑訴25、教養42のトータル204点で99位通過でした。自分としては予想外に良い結果で、苦手意識があった民法は少し実力不足ですが、その他の科目はすべて70%以上の得点率で、初受験の結果としては申し分ない結果です(自分で言うな)。

4.雑感

 短答については自分の勉強方法が正しかったと思いました。とりあえず一問一答方式で問題を解いて個別論点についての知識をつけるのと、それだけだと知識が有機的に結びつかないので基本書を通読することで全体の中に知識を位置づけなおすのとの両輪です。

 ただ、論文の勉強をほとんどやっていなかったので、ここまで手厚く短答を勉強をするなら論文の勉強に早々にシフトしておくべきでした。ちょっとピークの持っていきかたを間違えたような気がします(実際、ちょっと燃え尽き気味だった)。